虫歯にならないための甘いもの講座

#04 砂糖以外の甘いもの

甘いものは、砂糖だけではありません。甘いものを大雑把にわけると次の3つになります。

 

@天然に豊富に存在するものを加工したもの

A天然にごく少数しかないものを加工したもの

B本来甘くないものを化学的に変換して甘くしたもの。

 

@は、古来より使われてきました。代表的なものは蜂蜜や水飴です。砂糖もここに入ります。

Aの例は、キシリトールやステビアです。Bの例としては、サッカリンやアスパラテームがあげられます。

@には、カロリーが高く、虫歯の原因になりやすいという欠点があります。

肥満や糖尿病の原因にもなります。今回は、@のうち、砂糖以外の従来型の甘味料をお話します。

 

砂糖が広く使われる前に使われていた甘味料の代表は、蜂蜜と水飴です。蜂蜜は、花の蜜を蜜蜂が

収集して作ります。この際、蜂の体内で酵素を加えることによって、花の蜜を分解していきます。

蜂の巣で35度前後に保たれ、果糖やブドウ糖を主成分とした蜂蜜を形成します。

 

おそらく蜂蜜は、人類が一番最初に食べた甘味料でしょう。1万年前のスペインの壁画から、蜂蜜を

思われる絵が見つかっています。何より、野生動物である熊が食べているのです。万物の霊長たる人類が

食べないわけがありません。

 

水飴は、発芽玄米や麦芽を加工することで、得られます。こちらは、酵素を使ってデンプンを分解して

作ります。ちなみに、蜂蜜や水飴の主成分は、ブドウ糖、果糖、麦芽糖などです。砂糖が大量生産

されるまでは、これらの甘味料が主に使われていました。

 

しかし、現在はその地位を砂糖に奪われています。理由は、前回触れました価格もありますが、使い

やすさも大きいと思います。蜂蜜や水飴は、液状ないしゲル状です。冬には凍ってしまい、使い難く

なります。家内制手工業レベルだと、保存や加工が色々と難しいです。湿度が高く、四季の気温差が

大きい日本では、日常的に使うには色々と厄介でした。これに対し、砂糖は固体です。保存や加工も

簡単です。ほって置いても腐りません。アリに気をつければ無問題です。そのまま食べても大丈夫です。

料理に用いるにも、簡単に計量できます。水に簡単に溶けますので、様々な料理に用いられます。

 

もっとも、砂糖も現在のように固体に精製されるようになったのは、比較的最近です。以前は、水飴と同様に

液状ないしゲル状で用いられていました。逆を言えば固体化できるようになったため、砂糖の使いやすさが

抜きん出たわけです。つまり、従来の甘味料のうち、味、価格、使い勝手など様々な点で、最も優れて

いたものが砂糖であったと、言っていいでしょう。

 

ですが、現在でも砂糖だけが、甘味料に使われているかというとそうではありません。蜂蜜や水飴に

含まれていた甘味料が、形を変えて使われています。例えば、果糖やブドウ糖です。

こちらは、トウモロコシやサツマイモなどのデンプンから、大量生産されています。異性化糖と呼ばれて

います。デンプンを分解して、化学反応で大量に作ります。Bの化学的に合成したものに分類しても

いいかもしれません。大量生産された結果、最大の問題であった価格もクリアーできました。

 

これらの異性化糖は、清涼飲料水などに大量に使われています。前回でも書きましたが、砂糖はブドウ糖と

果糖の化合物です。より正確に言えば、砂糖蔗糖は、ブトウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)からなる

二糖類です。分子式だけ見れば、砂糖が使われているのと代わりありません。

 

では、何故精製飲料には、砂糖ではなく果糖やブドウ糖が使われれいるのでしょう。

理由は、幾つかあります。その一つが、水への溶け易さです。異性化糖は、常温で固体にするのが困難で、

液状でいるのが常態です。固体にするのが難しければ、液体に混ぜて使えばいいわけです。個人レベルで

使い難くても、工場で大量生産するのなら、問題はないというわけです。

また、特に果糖は、温度が低くなれば甘さが増す特性があります。以前も触れましたが、人間の味覚は、

温度が下れば、甘さを感じる能力が低下します。その意味では、温度が低下すれば甘くなる果糖は、

清涼飲料に最適です.

 

しかし、いいことばかりではありません。

例えば、エネルギーの吸収効率が、砂糖より高いです。理由は簡単です。砂糖は分解されると、ブドウ糖と

果糖になります。これに対し、ブドウ糖と果糖は、この工程がないのです。手間が一個少ないのです。

その分だけ、消化吸収がよくなるわけです。

果糖やブドウ糖が、砂糖より太りやすいと言われる理由は、この辺にあります。

このことは、悪いことばかりではありません。

例えば、糖尿病などで急速に血糖値を上げなければいけないときには、砂糖よりも果糖やブドウ糖の方が

いいと言うわけです。疲労回復にも最適ということになります。

要は、使い方と分量に気をつければいいという事になります。

 

また、甘く、天然に豊富にあるため、虫歯の原因になりやすいです。口腔常在菌によって分解される際、

菌体外多糖という物質を生産します。この菌体外多糖は、唾液に粘性を与え、口腔内の自浄作用を

低下させます。唾液が糸を引く原因は、この菌体外多糖に原因があります。ピカピカに磨いた床には

埃は積もらないが、油が浮いているような床には、埃が落ちたら剥がれない。そういうわけです。

その積もった埃が、砂糖とストレプト・コッカスの組み合わせだと、乳酸を産出し、虫歯の原因になるわけ

です。砂糖のように乳酸となり虫歯の直鉄的な原因にはなりません。菌体外多糖を大量生産することで、

お口の自浄性を落として、虫歯ができやすくなる環境を作ると言ってもいいと思います。

ともあれ、虫歯の要注意物質であることは、間違いありません。

 

そして、果糖やブドウ糖が多く使われるようになった背景には、工場で大量生産が出来る事になったのは

勿論ですが、政治的なものもあります。例えば、亜米利加でコーラなどの清涼飲料に主に使われるのは、

コーンシロップです。コーンシロップは、異性化糖の一つです。トウモロコシのデンプンから作られます。

 

亜米利加は、世界の食料庫と言って過言ではありません。

その中で大量に作られるのが、小麦とトウモロコシです。トウモロコシは、人間が食べるのは勿論、家畜の餌

にもなります。用途の幅がとても広く、便利です。

しかし、小麦やトウモロコシは、植物です。気候によって収穫量が左右されます。不作で足りなくても問題

ですが、豊作で余ってしまっても大問題です。備蓄するにしても限度があります。そこで、ある程度の量を、

加工して保存することができれば、供給の安定に役立つというわけです。

コーンだとカビが生えたらお終いですが、コーンシロップに加工すれば、備蓄は比較的簡単です。タンクに

密閉すればいいのですから。大量に備蓄となると、別な問題が出ますが、カビが生えるよりはましです。

この辺の事情は、日本でも変わりません。供給過剰になったサツマイモを加工しています。

背景としては、バイオメタノール生産に使われるのと、同じです。

 

この他にも、亜米利加の場合は、もっと切迫した事情もありました。

キューバ革命です。亜米利加は、砂糖は主にキューバから輸入していました。ところが、キューバで革命が

起こってから、輸入が不可能になりました。無論、ブラジルをはじめとする他の国から輸入すればいいので

すが、農業生産物を急に増やすということは、困難です。安定供給となれば、尚更です。

 

キューバと仲直りすればいいかもしれません。

しかし、ケネディ大統領もフルシチョフ書記長も、聞く耳もちません。カストロ議長は、そっぽを向いています。

そのため、砂糖の穴埋めとして、トウモロコシから大量生産できるコーンシロップが作られるようになった

わけです。亜米利加人が水のように飲むコーラには、コーンシロップ、つまり果糖とブドウ糖が大量に

含まれています。上記したように、果糖やブドウ糖は、砂糖よりも太りやすいです。

 


……亜米利加人が、世界で一番肥満が多いのは、当然かもしれません(^^;。

 


ともあれ、次回は、こういう問題点を解決した、新しいタイプの甘味料の話を
していきたいと思います。

具体的には、キシリトールについてお話します。

H21.09.09.UP