虫歯にならないための甘いもの講座 #005 キシリトールの問題点

前回までに触れたように、従来の甘味料には、幾つかの問題点がありました。

特に、虫歯や肥満の原因になりやすいことです。従来の甘味料は、自然界に豊富に存在します。

個々の食材に含まれる甘みはごくわずかです。しかし、それをかき集める術を人類は持っているのです。

 

……とっても欲張りですね(^o^)。

 

強欲は、罪です。だから、虫歯や肥満といった罰を受けるのです。砂糖の利点と欠点が知られるように

なってから、様々な代用糖が開発されました。前回触れたように、新しい甘味料は、大雑把に言って

次の2種類に分けられます。

 

A天然にごく少数しかないものを加工したもの

B本来甘くないものを化学的に変換して甘くしたもの。

 

どちらも、甘くてもカロリーが低いとか、甘くても虫歯になり難いなどの新しい機能を有しています。

虫歯や肥満の原因とならない甘味料として開発されたので、ある意味当然ですが。

Aの中で、最も有名なものの一つにキシリトールがあります。

キシリトールは、白樺や樫などの樹木から採れる天然甘味料です。野菜や果物などにも、僅かですが

含まれています。キシリトールが、砂糖の代用糖として有力な理由の一つに、カロリーが低いだけでなく、

口腔常在菌や腸内細菌を抑制するなどの利点もあります。

 

虫歯の原因となるストレプトコッカス・ミュータンスは、口腔常在菌の一種です。

その活動を抑制するのですから、虫歯予防につながります。それ故、ガムなどに用いられています。

具体的に、どうやって細菌を抑制するかというと、理屈は簡単です。キシリトールは、天然にはごく微量

しか存在しません。逆を言えば、ほとんどの細菌は、キシリトールを分解できないのです。

よって、ストレプトコッカス・ミュータンスが、砂糖を分解しようと思って近づいても砂糖でないため、分解

できないのです。分解できない=エネルギーにならないので、活動が抑制されるわけです。

『裏切ったなー!僕の気持ちを裏切ったなー!』

と叫ぶストレプトコッカス・ミュータンスの姿が目に浮かびます(^o^)。

 

……シンジ君じゃないですよ(^^;。

 

また、キシリトールは、歯の再石灰化を促進させるという説もあります。これは、甘いものを食べると消化する

ために唾液が出ます。キシリトールは甘いです。当然、唾液が出ます。この唾液が歯を歯を洗い流すから、

再石灰化が進むというわけです。

この説は、異論もあります。何故なら、唾液は別にキシリトールを食べなくても分泌されるからです。

砂糖も食べれば唾液が出ます。つまり、砂糖などの従来の甘味料は、虫歯になりやすかったのに対し、

キシリトールは虫歯になり難いから、再石灰化能が強いという考え方です。

ひいきのひきたおしに近い考え方だと思います。

 

余談ですが、キシリトール入りのガムのCMで、北欧の某国の食後の習慣として、食後にキシリトール入りの

ガムを薦めるというものがありました。これは事実です。虫歯予防という観点では、すばらしいと思います。

しかし、ここには、語られない事実があります。

その国では、虫歯の検査は保険適応で無料です。しかし、虫歯の治療は、保険対象外です。

だから、虫歯になると、とんでもないお金がかかります。

故にキシリトールが食後の習慣であるのは、虫歯の治療にお金を使えないという現実があるからです。

 

……世の中、世知辛いですねぇ(^^;。

 

閑話休題

 

ともあれ、そんな利点のあるキシリトールですが、砂糖の代わりに使うには、重大な問題があります。

キシリトールを食べて、体内を通過する過程で、大量の水分を吸収します。

そして、大腸でキシリトールは分解されます。当然、蓄えた水分も放出されます。

結果、大腸内の水分量が増え、お腹がゆるくなることがあるのです(^^;。

 

ただ、これはキシリトールを摂取するのになれてくれば、身体は対応できるようになります。ですが、最初の

数回は、お腹がゆるくなる可能性が高いのです。とても大量に使用できるわけがありません。

ちなみにお腹がゆるくなる目安は、ガムやキャンディの袋一杯分です。この量を超えると、お腹がゆるくなる

危険性が高まります。このことはキシリトール入りのお菓子には、ちゃんと書いてあります。

 

 

 

無論、個人差があるので、ガムやキャンディに含まれるキシリトールは、それなりの安全域を設けています。

だからキシリトール入りのガムをいっぱい食べると、必ずお腹がゆるくなるという事態にはならないでしょう。

ですが、ガムやキャンディ以外ではどうでしょう。以前書いたように、ケーキやパンに入れる砂糖の量は、

かなりの量になります。もし、キシリトールに置き換えたら、摂取限界量をこえることは確実です。甘いけど

下痢をする可能性がある食品を販売したら、下手をしたら保健所から営業停止処分を言い渡されます。

そんなものが売れるわけがありません。だからキシリトール入りのパンやケーキは、売られていないのです。

 

虫歯にならない甘味料。

すばらしい食品ですが、全ての問題の解決にはならないのです。

 

以前はやったマーフィの法則にこんなものがありました。

『一つの問題の解決は、別の問題を生む』

世の中、思う通りにはいかないものです(^^;。

 

次回は、Bの新しい人口甘味料を主に使ったカロリー0の食品の問題点について、

お話したいと思います。

H21.09.16.UP