#b001 50cmの向こう岸#01

何年か前に、8月の暑い盛りに、お葬式の手伝いをしたことがあります。 手伝いと言っても大した

ことではなく、道路に立って、訪れる人を案内する役目です。立った場所は、地下鉄の出口のある

交差点でした。この地下鉄の出口は、最近開通したため利用者が少なく、当然お葬式に来る方も

こちらではなく、別の出口から来る人がほとんどでした。そのため、この場所に割り振られたのは、

私だけでした。夕方でしたが、まだ暑く、しかもお葬式でしたから、黒ずくめで大変でした。

 

……鬘は、熱がこもるんですよ(T_T)。

 

人通りの邪魔にならないように、道路の隅に立ち始めてから20分も過ぎたころです。気がつくと、すぐ側で

若い女性が立っています。20才ぐらいで、夏らしいワンピースを着ています。どうも待ち合わせのようです。

無論、ジロジロ見るわけにはいきません。時々周囲を見回す際に、視界に入る程度です。幸い周囲は、

そこそこ人通りがあります。私と彼女の間を人が通り過ぎるため、彼女の方は、私に気づいておりません。

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